2月21日は食糧管理法公布記念日 ~戦時下の食糧確保から現代の備蓄米問題まで~

皆様は今日が「食糧管理法公布記念日」であることをご存知でしょうか?実は本日2月21日は、日本の食糧政策の歴史において極めて重要な意味を持つ日なのです。

1942年(昭和17年)のこの日、戦時下の日本で「食糧管理法」(通称:食管法)が公布されました。当時の日本は1936年から続く深刻な食料不足に直面しており、国民の生存と国家存続のため、政府が食糧の生産から流通、消費まで全面的に管理する画期的な制度が誕生したのです。この法律により、米は全量が政府管理となり、地主による小作米の自由販売も禁止されるという、現代からは想像もできないほど強力な統制が敷かれました。

この食管法は、実に半世紀以上もの長きにわたり日本の食糧政策の中核を担い続け、1995年(平成7年)に「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」(食糧法)に引き継がれるまで存続しました。食糧管理法の廃止は、米の最低輸入量を定めた輸入開始とともに実施され、日本の食糧政策が大きく転換する象徴的な出来事となりました。

さて、この歴史的な記念日にふさわしく、現在私たちは再び「米」をめぐる重大な局面に立っています。ニュースをご覧になった方もいらっしゃるでしょうが、現在コメの価格が驚くべき高騰を見せているのです。一部の店舗では品切れが発生し、「これではご飯が食べられない!」という消費者の悲痛な声が聞こえるほどの事態に発展しています。価格は平常時のほぼ倍にまで跳ね上がり、日本人の主食を脅かす危機となっているのです!

この非常事態に対応するため、農林水産省はついに21万トンもの備蓄米を市場に放出するという歴史的決断を下しました。コメ価格抑制のための備蓄米放出は前例のない措置で、いかに事態が深刻かを物語っています。

ここで多くの方が初めて知ることになるかもしれませんが、実は現代の備蓄米制度には「平成の米騒動」という痛烈な教訓が刻まれているのです。1993年、記録的な冷夏により日本中のコメ生産量が激減しました。作況指数は全国平均でわずか74、北海道に至っては信じられないことに40という壊滅的な数値を記録したのです。これにより、国内のコメ在庫が枯渇し、政府は「一粒たりとも外国から入れない」という従来の方針を覆して緊急輸入に踏み切らざるを得ませんでした。

この混乱を二度と繰り返さないために誕生したのが現在の備蓄米制度です。政府が毎年約20万トンを買い入れ、約100万トンを備蓄するという壮大なシステムは、まさに国家の危機管理の要なのです。コメ以外にも、小麦やトウモロコシ、石油、レアメタル、災害用食料など、国民生活に不可欠な物資は国が責任を持って備蓄しています。

今回の備蓄米放出は、不作や災害ではなく「流通の目詰まり」という想定外の理由によるもので、市場経済の日本においてこうした政府介入が必要になるほど、事態が深刻化していることの証左と言えるでしょう。

食糧管理法公布記念日である今日、私たちは改めて食の安全保障の重要性を認識し、歴史から学ぶ必要があるのかもしれません。日々の食卓に並ぶ白いご飯の裏には、このような国家的な備えと歴史の積み重ねがあることを、ぜひ心に留めておきたいものです。